その日、私はテンパっていた。
月末の忙しい時だっていうのに、前日まで越前・金沢にその時期だけしか食べられないセイコ蟹を食べる為だけの旅行に行っていたのだ。
だって私、3度の飯より蟹が好き。
仕事を数日間休んだツケは自分にくる。
月末月初の事務作業に加え、その日に期限付きの仕事を3つばかり抱えて、でも店に立っていると、なかなか作業は進まず…
ひーっ。どうしよう(ノ_<)
そんな感じだった。
1人になると、進まない事務作業にちょっとイライラしながら、必死にパソコンにかじりつく…
そんな時…
「ごめんください」
店の入り口から年配の男性の声。
(ん?新しい運送屋さんの人かな?なんで入ってこないんだろう?)
必死にパソコンを打ちながら、
「どーぞー」と感情もなく答えた。
そうしたらまた
「ごめんください」の声。
(店なのになんで入って来ないんだ?わたしゃ今、1分1秒だって惜しいのに…)
忙しいの漢字は心を亡くすと書くけれど、
まさにその時の私はそんな感じだったと思う。
仕方なく、店の入り口まで行ったら、
とても品の良いお爺さんが立っていた。
手にメモを持っていて
「ここを探しているのだけど、30分もぐるぐるしているのに分からなくて…」
メモを見せてもらうと、番地的にはかなり近くまで
来てるようだ。
そうだ!番地がわかるのなら…
「大丈夫!私、いいものもってるよ!」
そう言うとGoogleマップにその番地をいれてみた。
お爺さんに場所を目でわかるように教えてあげよう
と思って、お爺さんと一緒にお店の外に出た。
あれれ?その場所は店の前から見る限り駐車場だ
(°▽°)
おっかしいなぁ。
よし!見つかるまで探すぞ!
さっきまで忙しくてキリキリしてたのに、お爺さんと
地図を見ながらあれこれ考えてたら、すっかり夢中に
なっていた。
聞けばお爺さんは84歳。
ツイードジャケットにハンチング、アスコットタイ。
トラッドがキマッたお洒落なお爺さん。
ふと、メモを見ると、番地の縦書きの漢数字の一とニ。
私、それを三だと思ったんだ‼︎
Googleマップにいれたら、見事、謎が解けて
お爺さんの探しているお家は見つかった!
なんだか、お爺さんの嬉しそうな顔見たら
すっごく嬉しくなって、
店に戻るとイライラもすっかり落ち着いて、
ゆったり楽しい気持ちで事務をはじめられた。
そしたら、お爺さんが戻ってきて
「こんな年寄りに親切にしてくれて、今日1日幸せな気分になった。ありがとう。」と言って、
大きな、大きな、タラバ蟹の缶詰をくれた。
「これはすごくいい蟹だからね」
お爺さんはチャーミングに笑った。
だっ、だっ、大好きな蟹‼︎(*≧∀≦*)♡

しかもお爺さん、帰りにも顔出してくれて、
「おかげで会いたい人に会えたよ」と。
良かった(*´∀`*)
なんだか、お爺さんの笑顔に照らされて、
私まで幸せな気持ちに(*´Д`*)♡
お爺さん、ほんとは私がお爺さんから大事なものや
幸せな気持ちいっぱいもらったんだよ。
おかげで、忙しくてイライラするはずの1日が
ホンワカ幸せな日になった。
お爺さん、本当にありがとう♡
次の日、お爺さんがくれた大きなタラバ蟹の蟹缶で
カニの炊き込みご飯をつくることに。
そしたら家に缶切りがないことに気づき
サバイバルナイフでなんとか開けられた。
サバイバルナイフってほんと便利!
缶を開けてビックリ‼︎
私、庶民だから、カニ缶をなめてた…
カニ缶って砕いたカニが入ってるものかと思った。
お爺さんから頂いた蟹缶は、私の想像をはるかに
超えていた。
本当の蟹の足の塊が、ごろごろ入っているじゃあーりませんかっ‼︎
一口食べたら…
なにこれ?美味しい〜(*≧∀≦*)♡
そしてできた蟹の炊き込みご飯。
ちょうど旅行で買った蟹味噌もあったから
いれてやったぜ‼︎
じゃ、じゃーん(*≧∀≦*)



ヤバッ‼︎
こんな美味しい蟹ごはん、初めて食べた!
旅行で食べたせいこ丼を超える勢いの美味さ♡
と思うのは、
お爺さんがくれたから?
この蟹缶がとても気に入り、よし、楽天で買おう!と
ググったら、この蟹缶…
なんと¥5000以上した‼︎(°▽°)
私、道をちょこっと教えただけなのに。。。
それどころか、優しい、温かい気持ちいっぱい頂いて、私こそその日一日幸せな気持ちにして頂いたのに(;▽;)
お爺さん、本当にありがとう(;▽;)
そんな蟹缶が運ぶ幸せのお話でした。
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